税理士業務の基礎を学ぶ(新米税理士のための自己啓発ガイド Vol.1)

税理士法人SBL
八木 正宣

2021/7/16

税理士法は、税理士試験の受験科目ではなく、税理士登録後、自分自身で学ぶ必要があります。税理士として活動するにあたり、何よりも優先して押さえておくべき基本的なことが含まれています。

1.税理士の使命

税理士法第1条は、「税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念に沿って、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする」とあります。

歴史的に日本の租税制度は、江戸時代の年貢から明治時代初期には地租、そして明治時代半ばに営業税と重心が移ってきました。営業税の申告にあたって商工業者から依頼を受けて税務を代行する者が発生し、これが税理士の前身とされています。

その後、戦後になり、申告納税制度が整備されました。申告納税制度は計算等の手続きにおいて納税者に負担を強いることになります。税理士は、税法・税務に精通した専門家として、納税者の信頼に応えることが大切です。

また、税金の計算や税務調査において、納税者側に寄りすぎても、課税当局に従いすぎてもいけません。税務上の争点について、税理士として独立した立場で客観的に見ることが大事です。

2.税理士の使命

税理士法第2条では「税理士は、他人の求めに応じ、租税に関し、①税務代理、②税務書類の作成、③税務相談を行うことを業とする」 と定めています。

他人から依頼を受けて税務申告書を作成等することは税理士でないと認められていません。税理士の資格がないと、仮に無報酬であったとしても、税務書類の作成や個別具体的な税務相談に乗ることも禁止されています。

なお、自分自身の税務書類の作成等は、税理士資格がなくても当然にできます。 

3.付随業務

同じく第2条で「税理士は、税理士業務のほか、税理士の名称を用いて、他人の求めに応じ、税理士業務に付随して、財務書類の作成、会計帳簿の記帳の代行その他財務に関する事務を業として行うことができる」と定めています。

財務書類の作成や記帳代行は、税理士業務と合わせて一つの業務として位置づけられることが多くなっており、あえて税理士の付随業務として明文化されています。税務だけではなく会計の専門家であることが、税理士に求められているのです。

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