【令和8年度税制改正】特定生産性向上設備等投資促進税制の創設について解説

【令和8年度税制改正】特定生産性向上設備等投資促進税制の創設について解説

令和8年度税制改正の目玉の一つとされているのが大胆な投資促進税制とされている「特定生産性向上設備等投資促進税制」です。

多くの企業が設備投資を行うに当たり、この税制度の利用を検討することが予想されます。この記事では、特定生産性向上設備等投資促進税制とはどのような制度なのか解説します。

目次

特定生産性向上設備等投資促進税制とは

特定生産性向上設備等投資促進税制は、令和8年度の税制改正により導入された制度です。簡単に言うと、大型の設備投資を行った場合に、特別償却(即時償却)または税額控除を受けられるという制度です。

ただ、いくつかの要件を満たしていないと特定生産性向上設備等投資促進税制は適用されないため注意しましょう。

特定生産性向上設備等投資促進税制の目的とは?

特定生産性向上設備等投資促進税制の目的は、「高付加価値な国内設備投資の推進」にあります。日本の潜在成長率は諸外国と比較して低い状況にありますが、質の高い設備投資が十分ではないことも原因です。

そこで、政府と経団連は、2030年度に135兆円、2040年度に200兆円という設備投資の目標を設定しました。この目標達成に向けて、設備投資を後押しするために創設した税制です。

特定生産性向上設備等投資促進税制の対象となる企業とは?

特定生産性向上設備等投資促進税制は、業種は限定されず、すべての企業が対象となります。

特に、中小企業はほぼすべての企業がこの税制を適用することができます。ただ、大企業については、適用除外となることもあるので注意が必要です。

対象となる企業の要件をまとめておきましょう。

  • 青色申告書を提出する法人である。
  • 業種は問わない。
  • 中小企業者と農業協同組合等以外の法人(例えば大企業)は適用除外となることがある。

大企業等が適用除外となるケースとは?

所得の金額が前期の所得の金額を超えており、次のいずれかに該当しない場合です。

  • 継続雇用者給与等支給額の継続雇用者比較給与等支給額に対する増加割合が「1%以上」である。
  • 国内設備投資額が当期償却費総額の「30%」を超えている。

※資本金の額等が10億円以上であり、かつ、常時使用する従業員の数が1,000人以上である場合又は常時使用する従業員の数が2,000人を超える場合には、上記の数字は、「2%以上」、「40%」になります。

特定生産性向上設備等投資促進税制の対象となる設備投資は?

特定生産性向上設備等投資促進税制は、どのような設備投資にも使えるわけではありません。対象となる設備投資の種類は限定されています。また、一定の規模以上であることが求められています。

具体的には次のとおりです。

対象となる設備投資設備投資の規模
機械装置1台又は1基の取得価額が160万円以上のもの
工具及び器具備品それぞれ1台又は1基の取得価額が120万円以上のもの(それぞれ1台又は1基の取得価額が40万円以上で、かつ、一事業年度におけるその取得価額の合計額が120万円以上のものを含む。)
建物一の取得価額が1,000万円以上のもの
建物附属設備及び構築物それぞれ一の取得価額が120万円以上のもの(建物附属設備については、一の取得価額が60万円以上で、かつ、一事業年度におけるその取得価額の合計額が120万円以上のものを含む。)
ソフトウエア一の取得価額が70万円以上のもの

経済産業大臣の確認を受ける必要がある

対象となる設備投資を行えば必ず、特定生産性向上設備等投資促進税制を適用できるわけではありません。特定生産性向上設備等に該当することについて、経済産業大臣の確認を受ける必要があります。

この確認を受けるためには次の要件を満たさなければなりません。

  • 生産性向上設備等の導入に係る投資計画に記載された生産等設備を構成する生産性向上設備等の取得価額の合計額が35億円以上(中小企業者又は農業協同組合等については、5億円以上)であること。
  • 生産性向上設備等の導入に係る投資計画における年平均の投資利益率が15%以上となることが見込まれるものであること。
  • 生産性向上設備等の導入に係る投資計画にその実現に必要な資金調達手段が記載されていること。
  • 生産性向上設備等の導入に係る投資計画が取締役会等の適切な機関の意思決定に基づくものであること。
  • 上記のほか、生産性向上設備等の導入がその法人の設備投資を増加させるものであること等の要件を満たすものであること。

特定生産性向上設備等投資促進税制の内容

特別償却(即時償却)と税額控除のどちらかを選択して適用することができます。

具体的には次のいずれかです。

  • 特別償却(即時償却)
  • 税額控除

そして、対象資産毎に、即時償却又は税額控除を選択することができる点にも注目しましょう。

特別償却(即時償却)

その事業の用に供した日を含む事業年度においてその特定機械装置等について普通償却限度額との合計でその取得価額までの特別償却(即時償却)が可能です。

つまり、対象設備の取得価額の全額をその年度の経費にできるということです。

税額控除

取得価額の7%または4%の税額控除を受けられます。

  • 機械装置・工具及び器具備品・ソフトウェア:7%
  • 建物、建物附属設備及び構築物:4%

ただし、当期の法人税額の20%が上限となります。また、控除限度超過額は3年間の繰越しができます。

ただし、控除限度超過額の繰越控除は、「予見し難い国際経済事情の急激な変化に対応するための計画」と「予見し難い国際経済事情の急激な変化への対応を確実に実施していること」について経済産業大臣の確認を受けた場合に限り、適用できるとされているので注意しましょう。

他の設備投資税制との併用は不可

特定生産性向上設備等投資促進税制の適用を受ける年度は、次の設備投資税制は適用しないこととされているので注意しましょう。

  • 地域経済牽引事業の促進区域内において特定事業用機械等を取得した場合の特別償 却又は税額控除制度(地域未来投資促進税制)
  • 中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度(中小企業経営強化税制)
  • カーボンニュートラルに向けた投資促進税制

特定生産性向上設備等投資促進税制の措置期間

特定生産性向上設備等投資促進税制は、2029年(令和11年)3月までに経済産業大臣の確認を受け、確認の日から5年以内に事業に供する設備投資が対象になります。

確認期限は2029年(令和11年)3月31日まで

特定生産性向上設備等投資促進税制の適用を受けるためには、経済産業大臣の確認を受ける必要がありますが、この確認は、2029年(令和11年)3月31日までに受けなければなりません。

確認を受けてから5年以内に設備投資を行う

経済産業大臣の確認を受けた日から同日以後5年を経過する日までの期間内に、特定機械装置等を取得するなどして事業の用に供する必要があります。

特定生産性向上設備等投資促進税制の適用例

特定生産性向上設備等投資促進税制は、設備投資ごとに適用できることや対象資産毎に、即時償却又は税額控除を選べる点が大きな特徴です。

企業が工場を新設して機械装置とソフトウェアを導入したというケースでは、

  • 工場
  • 機械装置
  • ソフトウェア

についてそれぞれの設備投資について個別に特定生産性向上設備等投資促進税制を適用できます。

例えば、次のような形で即時償却や税額控除をすることができます。

工場50億円を即時償却15億円のキャッシュフロー 改善効果
機械装置30億円を税額控除7%2.1億円の減税効果
ソフトウェア20億円を税額控除7%1.4億円の減税効果

このように100億円の設備投資を行った場合は、19億円程度の税制インセンティブを得られるということです。

まとめ

特定生産性向上設備等投資促進税制は、青色申告書を提出する法人であれば業種を問わず、中小企業も適用できるため、注目されている税制です。

設備投資を検討しているクライアントがいる場合は、この税制度について詳しく説明できるようにしておきましょう。

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