【令和8年度】外国子会社合算税制の見直しとは?制度改正の背景と実務への影響
令和8年税制改正では、国際課税分でいくつかの重要な見直しが行われました。なかでも、特に注目されているのは、外国子会社合算税制の見直しです。この制度は、日本企業による過度な税負担の回避を防ぐことを目的として導入されてきましたが、近年の国際的な課税ルールの変化や企業活動の多様化といった状況を受け、より実情に合った制度への見直しが求められていました。
本記事では、令和8年税制改正における外国子会社合算税制の見直し内容について、制度の概要、税理士・会計士が押さえておくべきポイントを解説します。
目次
- 外国子会社合算税制の見直し概要
- 外国子会社合算税制の具体的な見直し内容
- 外国子会社合算税制の見直しが実務に与える影響
- 過去の外国子会社合算税制と今後の方向性
- 外国子会社合算税制とグローバル・ミニマム課税の関係
- 外国子会社合算税制の申告・調査対応への影響
- 令和8年税制改正を踏まえた外国子会社合算税制への対応
外国子会社合算税制の見直し概要

令和8年税制改正における外国子会社合算税制の見直しを理解するためには、まず今回の改正がどのような問題意識のもとで行われたのかを確認する必要があります。ここでは、改正全体の方向性と、制度見直しの基本的な考え方について解説します。
外国子会社合算税制の基本と制度の目的
外国子会社合算税制は、日本法人または居住者が一定割合以上で管理している外国子会社の所得を、実際に配当を受けていなくても日本側で合算課税する制度です。
いわゆるタックスヘイブン対策税制として位置づけられ、低税率国や無税国に所得を留保することによる課税の先送りを防止する役割を果たしてきました。
これまでの制度では、実効税率基準や事業実態要件などを基準として、合算対象となる外国子会社かどうかを判定する仕組みが取られてきました。
令和8年税制改正における見直しの背景
近年、グローバル・ミニマム課税の導入など、国際課税に関する状況は大きく変化しています。その一方で、これまでの外国子会社合算税制については、実態のある事業活動を行っている海外子会社までが過度に合算対象となるケースや、制度の複雑化による実務上の負担の増加が指摘されていました。
こうした状況を踏まえ、令和8年税制改正では、制度の趣旨を維持しつつも、実態に合った見直しが行われることになったのです。
外国子会社合算税制の具体的な見直し内容
令和8年税制改正では、外国子会社合算税制についていくつかの視点から見直しが行われています。ここでは、税理士・会計士が実務上特に注意すべき、主な見直し内容について解説します。
実効税率基準の考え方の調整
外国子会社合算税制では、これまで実効税率が一定水準未満であるかどうかが合算判定の重要な基準とされてきました。令和8年税制改正では、グローバル・ミニマム課税との整合性を意識しつつ、実効税率の算定方法や判定の考え方について見直しが行われています。
これにより、単純な名目税率ではなく、実際の状況を踏まえた課税水準がより重視される考え方となりました。
事業実態要件の明確化と整理
事業実態要件についても、今回の改正で内容の整理が行われました。外国子会社が現地で実質的な事業活動を行っているかどうかの判断基準について、形式面だけに偏らないよう配慮がなされています。
これにより、実体のある海外事業を行っている日本企業に対する、過度な課税リスクの軽減が期待されています。
受動的所得の範囲に関する見直し
外国子会社合算税制では、受動的所得の割合が高い場合に合算対象となる仕組みです。
令和8年税制改正では、この受動的所得の範囲についても一定の見直しが行われました。金融取引や無形資産取引を中心に、取引の実情に応じた判断ができるよう調整されています。
外国子会社合算税制の見直しが実務に与える影響
制度改正は、単に条文が変わるだけではなく、企業や専門家の実務にも影響します。
見直し後の外国子会社合算税制では、これまで以上に外国子会社の実態を把握することが重要です。税理士・会計士としては、現地法人の財務情報や事業内容、課税状況について、より詳細な情報収集と分析が必要となります。
特に、実効税率や受動的所得の判定にあたっては、単年度だけではなく、中長期的な視点での検討が必要となる場面もあるでしょう。
過去の外国子会社合算税制と今後の方向性
令和8年税制改正を理解するためには、これまでの制度の変化と、今後の国際課税の流れを全体的に捉えることも重要です。ここでは、過去の制度改正と今後について解説します。
過去の改正と制度の複雑化
外国子会社合算税制は導入以降、国際的な税負担の回避を目的としたスキームへの対応として段階的に改正が行われてきました。その結果、制度は年々複雑化し、専門家であっても判断に迷うケースが増えていました。今回の見直しは、そうした複雑化への一定の歯止めとなる意味合いも持っているといえるでしょう。
グローバル課税環境との調和
今後は、グローバル・ミニマム課税をはじめとする国際的な課税ルールとの整合性が、外国子会社合算税制で重要なポイントとなります。令和8年税制改正は、その流れの中での第一段階としてされ、日本の国際課税制度全体の再構築につながる可能性があります。
外国子会社合算税制とグローバル・ミニマム課税の関係

令和8年税制改正による外国子会社合算税制の見直しを考える上で、グローバル・ミニマム課税との関係性も理解することが重要です。2つの制度は目的や仕組みが異なるものの、国際課税の実務においては影響する場面もあります。ここでは、制度の役割の変化や実務上の注意点を解説します。
グローバル・ミニマム課税導入後の制度的役割の変化
グローバル・ミニマム課税は、多国籍企業グループに対して一定水準の実効税率を確保することを目的とした制度です。低課税国への所得移転を抑える点では、外国子会社合算税制と共通する部分があります。
そのため、ミニマム課税の本格導入後には、外国子会社合算税制の役割が相対的に変わることが想定されてきました。
令和8年税制改正では、制度間の重なりや過度な課税を避けるという点から、外国子会社合算税制の適用範囲や判定基準について、実態を踏まえた調整が行われています。
二重課税リスクと実務上の注意点
グローバル・ミニマム課税と外国子会社合算税制が同時に適用される状況では、同一の所得に対していくつもの制度が影響を及ぼす可能性があります。
税理士・会計士としては、合算課税による所得計上とミニマム課税による追加課税の関係を整理し、二重課税リスクが生じないように検討しなければなりません。今回の見直しは、実務上の混乱をある程度抑えることを目的としたものといえるでしょう。
外国子会社合算税制の申告・調査対応への影響
制度改正は、申告実務や税務調査の実務でも少し影響を及ぼします。ここでは、令和8年税制改正による外国子会社合算税制の見直しが、具体的にどのような点で実務対応の変化を与えるのかを解説します。
合算判定資料の整備と説明責任の重要性
外国子会社合算税制の適否判断においては、これまで資料整備の重要性が指摘されてきました。しかし、今回の見直しによって、その重要性はさらに高まると考えられるでしょう。
特に、事業実態要件や実効税率に関する判断については、税務調査の場面で合理的な説明が求められる可能性があります。現地法人の事業内容や組織体制、意思決定プロセスなどを適切に文書化しておくことが、リスク管理の面でも重要です。
税務調査における論点の変化
令和8年税制改正後は、数値基準だけではなく、外国子会社の実質的な活動内容に目を向けた調査が行われる可能性があります。税務当局としても、国際的な課税ルールとの整合性を意識した判断を行う可能性があり、これまでとは異なる視点での質問や確認が行われる場面もあるでしょう。
形式基準から実態重視へと移行
外国子会社合算税制が形式的な数値基準だけで判断される制度ではなく、実際の事業内容を重視する方向へと移行していることが特徴です。
これは、専門家による判断やアドバイスの重要性がこれまで以上に高くなるということでもあります。顧問先企業の海外展開の実情を正確に把握し、それを税務上どのように評価するかが、実務の質を決める重要なポイントになるでしょう。
中長期的な国際税務戦略への関与
外国子会社合算税制の見直しは、短期的な税負担の増減だけではなく、企業の中長期的な国際税務戦略にも影響を与えます。税理士・会計士としては、単年度の申告対応だけではなく、将来の制度動向を踏まえたアドバイスを行うことで、より付加価値の高いサービスを提供できるでしょう。
令和8年税制改正を踏まえた外国子会社合算税制への対応
令和8年税制改正で示された外国子会社合算税制の見直しは、制度の趣旨を維持しつつ、国際的な課税環境や実務に配慮した調整が行われていることが特徴です。税理士・会計士にとっては、条文の変更点を把握するだけではなく、その背景や狙いを理解したうえで、顧問先の状況に応じた対応を検討しなければなりません。今後も国際課税分野の動向を確認しつつ、専門家として価値あるアドバイスを提供していくことが重要になるでしょう。
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