【2025年版】省エネ・非化石転換補助金とは?制度の概要や申請の流れ、スケジュール等詳しく解説

省エネ・非化石転換補助金は、環境共創イニシアチブ(SⅡ)が実施して、国内の法人と個人事業主が活用可能な省エネルギー対策を支援する補助金です。
省エネ補助金に関しては、昨年2024年は「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」という名称で実施されましたが、令和7年(2025年)も名前を「省エネ・非化石転換補助金」に変更し、一部内容も追加・変更され引き続き実施しています。
今回の記事では「省エネ・非化石転換補助金2025の概要(事業者向け)」について詳しく解説します。
今後、省エネ設備・機器の導入や非化石エネルギーを使用中の設備・機器の更新を検討中の方々に大変役に立つ補助金ですので、ぜひご覧になって下さい。
目次
省エネ・非化石転換補助金とは?

省エネ・非化石転換補助金とは、国内の法人や個人事業主が、新しい省エネ設備・機器の導入と非化石エネルギーを使用中の設備・機器の更新費用等の一部を支援する補助金です。
本補助金は令和6年度補正予算に基づき実施されており、以下の2つの補助金種類から構成されています。
- 省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金(工場・事業場全体の省エネを対象とするⅠ型、Ⅱ型、及びⅣ型)
- 省エネルギー投資促進支援事業費補助金(設備単位での省エネを対象とするⅢ型及びⅣ型)
参照先:省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金|SⅡ環境共創イニシアチブ
参照先:省エネルギー投資促進支援事業費補助金| SⅡ環境共創イニシアチブ
工場・事業場全体の省エネ
省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金(工場・事業場全体の省エネ)は、予め指定された先進設備・システムなどを活用して工場・事業場全体で大幅な省エネ化を図る事業(Ⅰ型)や、ヒートポンプや低炭素工業炉、コージェネレーションなど特定の機器を導入して電化・脱炭素目的の燃料転換を行う事業(Ⅱ型)、EMS(エネルギー・マネジメント・システム)を導入してエネルギー使用状況の見える化や運用改善を図る事業(Ⅳ型)に係る経費の一部を補助し、工場・事業場全体での省エネ取組を支援します。
設備単位の省エネ
省エネルギー投資促進支援事業費補助金(設備単位での省エネ)は、産業業種に依らず、汎用的に使われる空調や冷凍冷蔵設備、ボイラ、工業炉などのユーティリティ設備や、工作機械や印刷機などの生産設備について、定められた基準を満たした省エネ効果が高い高効率な設備(指定設備)に更新する事業(Ⅲ型)に係る経費の一部を補助し、設備単位での省エネ取組を支援します。
またEMS(エネルギー・マネジメント・システム)を導入して、エネルギー使用状況の見える化や運用改善を図る事業(Ⅳ型)との併用も可能です。
省エネ・非化石転換補助金の概要
省エネ・非化石転換補助金2025の概要は以下の通りです。
本補助金はⅠ型、Ⅱ型、Ⅲ型、Ⅳ型の4つの事業区分に分かれており、それぞれ補助対象や支給要件が異なっています。
以下、Ⅰ型から順に実施要件や内容を解説します。
事業区分(Ⅰ)工場・事業場型
事業区分Ⅰ型は、生産ラインの更新等、工場・事業場全体で省エネを図る設備・機器等の導入を支援する型です。
Ⅰ型はさらに、「先進枠」、「一般枠」、「中小企業投資促進枠」から構成されており、それぞれの詳細は以下の通り。
- 先進枠(先進設備・システムの導入)…SⅡが予め公募を行い、「先進的な省エネ技術等に係る技術評価委員会」において決定した審査項目に則り、SⅡが設置した外部審査委員会において審査・採択した先進設備・システムへ更新等する事業
- 一般枠(オーダーメイド型設備の導入)…機械設計または事業者の使用目的に合わせて設計・製造する設備等へ更新等する事業
- 中小企業投資促進枠(指定設備の導入)…SⅡが予め定めたエネルギー消費効率等の基準を満たし、登録及び公表した設備の導入を行う事業

(※)その他とは、みなし大企業に該当する法人または会社法上(株式会社、合同会社等)以外の法人(医療法人、NPO法人等)であり、かつ従業員が300人越えの法人
事業区分(Ⅱ)電化・脱炭素燃転型
事業区分Ⅱ型は、化石燃料から電気への転換、あるいはより低炭素な燃料への転換等、電化や脱炭素目的の燃料転換を伴う設備・機器等の導入を支援する型です。
事業区分 | (Ⅱ)電化・脱炭素燃転型 |
事業要件 | 指定設備のうち、電化や脱炭素目的の燃料転換を伴う設備等の導入 |
省エネ効果の要件 | 電化・脱炭素目的の燃料転換を伴うこと対象設備は、定められたエネルギー消費効率等の基準を満たし、補助対象設備として登録及び公表した以下の指定設備 ①産業ヒートポンプ ②業務用ヒートポンプ給湯器 ③低炭素工業炉 ④高効率コージェネレーション ⑤高性能ボイラ上記に該当しない「その他SIIが認めた高性能な設備」のうち、電化・脱炭素燃転に資するとして指定した設備も対象となる(ヒートポンプで対応できる低温域は電化のみ) |
補助対象経費 | 設備費・工事費※工事費は中小企業者等に限る |
補助率 | 1/2以内 |
補助金限度額 | 【上限額】3億円/事業全体【下限額】30万円/事業全体 |
事業区分(Ⅲ)設備単位型
事業区分Ⅲ型は、SⅡが予め定めたエネルギー消費効率等の基準を満たし、登録及び公表した設備の導入を支援する型です。
補助対象となる設備は、「ユーティリティ設備」群と「生産設備」群から構成されています。
複数年度(最大2年間)に渡る設備投資計画も支援の対象であり、設備の段階的導入、あるいは大規模な計画にも柔軟に対応できる制度設計がされています。
またEMSを導入してエネルギー使用状況の見える化や運用改善を図る事業であるⅣ型との併用も可能です。
事業区分 | (Ⅲ)設備単位型 |
事業要件 | 省エネ効果が高い効率的な設備(指定設備)の導入SIIが予め定めたエネルギー消費効率等の基準を満たし、補助対象設備として登録及び公表した指定設備へ更新する 【ユーティリティ設備】 ①高効率空調 ②産業ヒートポンプ ③業務用給湯器 ④高性能ボイラ ⑤高効率コージェネレーション ⑥低炭素工業炉 ⑦変圧器 ⑧冷凍冷蔵設備 ⑨産業用モータ ⑩制御機能付きLED照明器具 【生産設備】 ⑪工作機械 ⑫プラスチック加工機械 ⑬プレス機械 ⑭印刷機械 ⑮ダイカストマシン上 記に該当しない「その他SIIが認めた高性能な設備」として指定した設備も対象となる |
省エネ効果の要件 | 原油換算量ベースで、更新範囲内において、以下のいずれかを満たす事業 ・省エネ率10%以上 ・省エネ量1KL以上 ・経費当り省エネ量1Kl/千万円以上 |
補助対象経費 | 設備費 |
補助率 | 1/3以内 |
補助金限度額 | 【上限額】1億円/事業全体【下限額】30万円/事業全体 |
なお、本事業区分においては、省エネ法に基づく定期報告義務がない事業者(特定事業者以外の事業者)は、エネルギー合理化に関する中長期計画を策定することも要件となっていますのでご注意下さい。
事業区分(Ⅳ)エネルギー需要最適化型
事業区分Ⅳ型は、SⅡに採択されたエアマネ事業者(※)と協力し、登録されたEMSを用いてより効果的に省エネを図り、最終的にエネルギー需要の最適化を図る事業になります。
ただしⅣ型のみで申請する場合は、「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」が申請窓口となりますのでご注意下さい。
一方Ⅲ型の設備単位型と併せて申請する場合は、「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」が申請窓口となります。
(※)各回公募において採択されたエアマネ事業者の検索はこちらで確認できます。
参照先:令和6年度補正予算省エネ事業エアマネ事業者検索(工場・事業場全体の省エネを対象とするⅠ型、Ⅱ型及びⅣ型)
事業区分 | (Ⅳ)エネルギー需要最適化型 | |
事業要件 | EMS機器の導入SIIに登録されたEMSを用いて、より効果的に省エネルギー化及びエネルギー需要最適化を図る | |
省エネ効果の要件 | 申請単位で、「EMSの制御効果と省エネ診断等による運用改善効果」により、原油換算量ベースで省エネルギー率2%以上を満たす | |
補助対象経費 | 設計費・設備費・工事費 | |
補助率 | 中小企業者等 | 1/2以内 |
大企業及びその他 | 1/3以内 | |
補助金限度額 | 【上限額】1億円/事業全体【下限額】30万円/事業全体 |
参照先:省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金|SⅡ環境共創イニシアチブ
参照先:省エネルギー投資促進支援事業費補助金| SⅡ環境共創イニシアチブ
省エネ・非化石転換補助金の事業及び申請の流れ
省エネ・非化石転換補助金の交付申請書の提出から事業を実施・完了して成果報告書を出すまでの流れは以下の通りです。
これは「工場・事業場全体の省エネ」及び「設備単位の省エネ」のケースとも共通した手続きになります。
【事業1年間の流れ】

また最初に行う交付申請の各ステップも大枠では他の補助金とよく似ています。
簡単に紹介すると以下のようなプロセスを経て申請します。
STEP1…補助事業ポータルのアカウント登録
STEP2…更新予定の設備・システム等の検討
STEP3…見積の取得(導入予定の設備等がSⅡの定める事業完了日までに手配可能かの確認)
STEP4…申請パターンの検討(申請する事業区分の検討及び決定)
STEP5…交付申請に必要な書類の収集及び作成
STEP6…省エネルギー量の算出及び申請要件充足の確認、全体費用及びスケジュールの決定
STEP7…補助事業ポータルへの入力・印刷、及び書類郵送
公募スケジュール
今年度の公募スケジュールは以下の通りです。
すでに1次公募及び2次公募は締め切られており、現在3次公募受付中です。
- 1次公募期間…2025年3月31日~4月25日
- 2次公募期間…2025年6月2日~7月10日
- 3次公募期間
事業区分 | 公募期間 | |
(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅳ)型(※) | 単年度 | 2025年8月13日(水)~10月31日(金) |
複数年度 | 2025年8月13日(水)~2026年1月13日(火) | |
(Ⅲ)(Ⅳ)型 | 2025年8月13日(水)~9月24日(水) |
過去の採択率及び申請上の注意点
省エネ補助金の過去3年分の採択率をさかのぼってチェックしてみると、その時々の予算額、申請件数等に左右され、およそ50%~90%と採択率に大きな幅があります。
また補助内容も毎期見直しされているため、単に採択率だけを確認することで補助事業として申請が通りやすいかどうか判断するのも無理があると考えます。一方で、公募要領に沿って申請さえすれば、最低でも申請者の50%以上は採択されているので、これは活用すべきとの判断も可能です。
要は、毎年の公募で省エネルギーの効果要件が定められ公表されているので、いかにこれらの要件を満たす事業計画を策定できるかが採択のための鍵となるでしょう。
まとめ
令和6年度補正予算に基づく「省エネ・非化石転換補助金」は、国内の法人や個人事業主を対象に、省エネ設備・機器の導入や非化石エネルギーを使用中の設備・機器の更新等に使える補助金です。
補助金を活用した省エネ対応の設備・機器の導入は、事業経営への資金負担を抑えつつ、コスト削減や生産性向上等を図れる大きなメリットがあります。
本補助金は、省エネ補助金を活用して、新たに設備導入や既存設備の更新等を検討している企業者の方々には大変役立つ制度です。
申請の際には必ず最新の公募要領を確認して、適切かつタイムリーに準備するようおすすめします。

e-JINZAIで
社員スキルUP!
- e-JINZAI for account(会計事務所向け)
- e-JINZAI for business(一般企業・団体向け)
- 今ならe-JINZAIを2週間無料でお試しいただけます!

税理士.ch 編集部
税理士チャンネルでは、業界のプロフェッショナルによる連載から
最新の税制まで、税理士・会計士のためのお役立ち情報を多数掲載しています。
運営会社:株式会社ビズアップ総研
公式HP:https://www.bmc-net.jp/