中小企業省力化投資補助金2025とは?概要や申請フロー、スケジュールなど徹底解説

中小企業省力化投資補助金2025とは?概要や申請フロー、スケジュールなど徹底解説

中小企業省力化投資補助金2025は、令和6年度補正予算にて中小企業等事業再構築促進基金を再編し3,000億円規模で実施されている補助金です。

この改正により、中小企業省力化投資補助金は、補助上限額がそれまでの1,500万円から1億円まで引き上げられました。補助上限額が引き上げられたことで、中小企業等がより活用しやすくなった補助金といえます。

本記事では、中小企業省力化投資補助金2025について、令和7年最新の概要や申請フロー、実施スケジュールなど詳しく解説します。

参照先:中小企業省力化投資補助事業3,000億円|中小企業庁

中小企業省力化投資補助金2025とは?

中小企業省力化投資補助金とは、人手不足解消に効果のあるロボットやIoTなどの製品や設備・システムを導入するための経費を国が補助することにより、中小企業の省力化投資を促進し売上拡大や生産・業務プロセスの効率化を図るとともに、賃上げにつなげることを目的とした補助金です。

前年度2024年に続き、2025年度も制度拡充されて実施されています。

中小企業省力化投資補助金2025は、随時申請受付中の「カタログ注文型」と公募回制を採る「一般型」から成り、それぞれ受給の要件が異なっています。

またカタログ注文型・一般型は補助対象経費が異なれば併用も可能です。

前年度(2024年)からの改正点として、製品カタログに登録された省力化製品を選ぶ「カタログ注文型」については、販売店の登録要件が緩和されました。

また、オーダーメイド(セミオーダーメイド)で省力化設備を導入できる「一般型」が新設され、中小企業等がより活用しやすくなりました。

中小企業省力化投資補助金2025の概要

中小企業省力化投資補助金2025は、「カタログ注文型」と「一般型」から成っており、各々の概要については以下の通りです。

中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)

中小企業省力化投資補助金[カタログ注文型]は、カタログに登録された省力化製品の中から、自社の課題・業種・業務プロセスにあった製品を選び、販売店(販売事業者)と共同で申請する補助金です。

人手不足解消に効果のある汎用製品としては、清掃ロボット、自動券売機、スチームコンベクションオーブン、無人搬送車等があります。

参照先:製品カタログ(カタログ注文型)| 中小企業省力化投資補助金事務局

補助率は1/2以下、補助上限額は従業員数によって異なり、大幅の賃上げにより上限額が引き上げられる特例もあります。

カタログ注文型では、これまで販売店の登録においてメーカー(製造業者)の招待が必要でしたが、今回の改正で、販売店が「招待不要」で事務局HPから登録できるようになりました。

また販売店の取引実績に基づき補助上限額が登録されるようにもなりました。

今回の改正で、カタログ掲載製品を販売している販売店が本制度により参画しやすくなったとともに、補助事業の利用者である中小企業等も取引のある販売店、地域の代理店等から省力化製品を導入しやすくなりました。

【カタログ型】

補助対象者 人手不足の状態にある中小企業等
補助対象 カタログに登録された製品等
補助率 1/2以下
補助上限額(賃上げ要件を満たした場合) 従業員数5名以下 200万円(300万円)
従業員数6~20名 500万円(750万円)
従業員数21名以上 1,000万円(1,500万円)

※各申請における補助金の合計額が補助上限額に達するまでは、複数回の応募・交付申請が可能
※省力化製品を導入し、労働生産性で年平均成長率3%向上をめざす事業計画に取り組む事業者が対象
※補助上限額がアップする「大幅賃上げ特例」の適用を受ける場合は、事業終了時に①給与支給総額+6%以上、かつ、②事業場内最低賃金+45円以上とする計画を策定し申請する必要がある。また補助上限額を引き上げたが、事業終了までに賃上げ未達の場合は補助額が減額される。

中小企業省力化投資補助金(一般型)

中小企業省力化投資補助金(一般型)は、令和7年(2025年)から新たに新設された補助金です。

最大の特徴は、カタログに登録されていない省力化設備やオーダーメイド(セミオーダーメイド)の設備・システム等の導入に活用できる点です。

本事業の導入例として、通販事業で自動梱包機と倉庫管理システムをオーダーメイドで開発・導入したり、自動車部品製造事業で現場に合わせた最新のデジタルカメラやAI技術等を活用した自動外観検査装置を導入したりするケースが考えられます。

またカタログ注文型同様、一般型にも「賃上げ特例」があり、それを使うことで補助金上限も最大1億円まで拡大でき、また補助率は中小企業が1/2、小規模・再生事業者が2/3となっています。

さらに補助事業の実施期間は交付決定から最大で18カ月です。そのため、中小企業等としては、生産・業務プロセスの大幅な改善を伴う設備導入にも余裕をもって取り組むことができます。

【一般型】

補助対象者 中小企業者、小規模事業者、特定事業者の一部、特定非営利活動法人、社会福祉法人等
補助対象 個別現場の設備や事業内容に合わせた設備導入・システム構築
補助率 中小企業 ・補助金額が1,500万円までは1/2(もしくは2/3)・1,500万円を越える部分からは1/3
小規模事業者、再生事業者 ・補助金額が1,500万円までは2/3・1,500万円を越える部分からは1/3
補助上限額(賃上げ要件を満たした場合) 従業員数5名以下 750万円(1,000万円)
従業員数6~20名1,500万円(2,000万円)
従業員数21~50名3,000万円(4,000万円)
従業員数51~100名5,000万円(6,500万円)
従業員数101名以上8,000万円(1億円)
基本要件 労働生産性の向上 省力化効果のあるオーダーメイド・セミオーダーメイド性のある設備やシステムなどを導入し、補助事業終了後5年間で毎年、申請時と比較して年平均成長率4.0%以上向上
給与支給の増加(いずれか達成) 1人当たり給与支給総額の年平均成長率が、事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上、もしくは給与支給総額の年平均成長率+2.0%以上増加
最低賃金の引上げ 事業場内最低賃金を事業計画期間中、毎年事業実施都道府県の最低賃金+30円以上の水準とする※最低賃金引き上げ特例適用事業者以外
一般事業主行動計画の公表 交付申請時までに、次世代育成支援対策推進法に基づく計画を「両立支援のひろば」で公表※従業員21名以上の場合のみ
収益納付 補助事業で一定の利益が出ても収益納付は求めない

※補助上限額がアップする「大幅賃上げ特例」の適用を受ける場合は、①給与支給総額の年平均成長率+6.0%以上増加 ②事業場内最低賃金が事業実施都道府県における最低賃金+50円以上の水準とする必要がある。(最低賃金引上げ特例事業者、各申請枠の上限額に達していない場合は除く。また上記①、②のいずれか一方でも未達の場合、各申請枠の従業員規模区分別の補助上限額との差額について補助金を返還する必要がある)
※補助率が2/3にアップする「最低賃金引き上げ特例」の適用を受ける場合は、指定する一定期間において、3カ月以上地域別最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全従業員数の30%以上いることが条件となる。(ただし小規模・再生事業者は除く。また補助金額1,500万円までが引き上げ対象)

カタログ型と一般型の違い

2025年改正の一般型新設で、中小企業等の補助事業者はカタログ注文型と一般型の利用が可能になりました。

またすでに述べましたが、カタログ注文型及び一般型は、補助対象経費が異なれば併用も可能です。しかし人手不足等に対応するため省力化投資を検討中の事業者にとって、どちらの方法を選べば良いか、あるいは併用すべきか等、悩む方もいるのではないでしょうか。

そこで各々の特徴について一覧表にまとめ比較してみましたのでご覧になって下さい。

項目カタログ注文型一般型
補助対象カタログに登録されている製品が補助対象です。また製品の本体価格や導入経費などが補助対象経費になります。登録カテゴリー・登録製品は順次追加更新されています。現場に合わせて独自の設備やシステムを選定・導入できます。オーダーメイドの設備や複数の汎用設備を組み合わせの導入が可能です。機械装置・システム構築費(必須)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費が補助対象経費となります。
補助上限額補助上限額は従業員数に応じて設定されています。補助上限額は従業員数に応じて設定されています。またカタログ型より補助上限額は高く、従業員区分も細分化されています。
補助率一律で1/2以下です。中小企業で1/2、小規模事業者・再生事業者で2/3、補助金額が1,500万円を超える部分は一律で1/3です。
公募方法随時公募を受け付けており、いつでも申請が可能です。公募回制になっており、各公募回の締切に合わせて申請します。
申請書類省力化効果が認定済みの製品を導入するため申請書類も簡便です。手続きに関しては、販売事業者と共同で申請します。省力化効果などを説明した事業計画等、カタログ注文型よりも詳細な申請書類が求められます。
交付決定申請から交付決定まで最短1カ月です。採択がそのまま交付決定のため、迅速な事業着手ができます。3カ月程度の審査を経て交付決定となります。そのためカタログ注文型よりも事業着手まで時間が掛かります。

比較の結果として、まず導入したい省力化設備がカタログに掲載されている場合、「カタログ注文型」がおすすめです。

申請手続きも簡単で設備を迅速に導入することができます。

一方、カタログにない省力化設備や生産・業務プロセスに最適化されたオーダーメイド(セミオーダーメイド)設備を導入したい場合、あるいは大規模な設備投資を計画している場合は補助上限額も大きいので「一般型」を選んだほうが良いでしょう。

さらに補助対象経費が異なればカタログ注文型と一般型の併用もできるので、可能性のある事業者はご検討下さい。

中小企業省力化投資補助金2025の申請フロー

中小企業省力化投資補助金2025の申請フロー(申請から事業完了までの流れ)は以下の通りです。

「カタログ注文型」と「一般型」では、申請のフローが異なっていますのでご注意下さい。

【カタログ型】申請から事業完了までの流れ

【一般型】申請から事業完了までの流れ

中小企業省力化投資補助金2025のスケジュール

中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)の応募・交付申請は、2024年8月9日より随時受付けに変更なりました。

応募・交付申請の利便性向上を図り、早期の省力化を実現するため、当面の間、随時受付が継続されます。採択・交付決定は申請から概ね1~2カ月程度です。また補助事業期間は原則交付決定日から12カ月以内になっています。

一方、中小企業省力化投資補助金(一般型)の応募・交付申請スケジュール等は以下の通りです。すでに第1回及び2回の公募・申請は開始されており、第3回公募が下記日程にて予定されています。

公募回公募開始日申請受付開始日公募締切日採択発表日
第1回1月30日3月19日3月31日6月16日
第2回4月15日4月25日5月30日8月中旬
第3回6月27日8月4日8月29日11月下旬(予定)

※上記日程は全て2025年中、曜日省略
※公募回は年3~4回予定されています。
※補助事業の実施期間は交付決定日から最大で18カ月です。
※一般型(第1回)の採択結果がすでに公表されており、申請数1.809件に対して採択数1,204件(採択率66.5%)となっています。(採択結果|中小企業省力化投資補助金事務局)

参照先:中小企業省力化投資補助事業(一般型)の第3回公募要領を公開しました|中小企業庁

中小企業省力化投資補助金2025に係る疑問点

最後に中小企業省力化投資補助金2025に係る疑問点をいくつか取り上げ解説しました。また以下の参照先の「よくある質問」も参考になりますので、申請前には必ずチェックしておいて下さい。

カタログ注文型に係る疑問点

Q1:すでに所有している製品の置き換えは補助対象となりますか?
A1:すでに所有する製品の置き換えで省力化効果が得られない事業は補助対象外となります。ただし一部機能・性能を有している省力化製品については、仮に置き換えであっても交付申請は可能です。交付申請の際、上記の機能・性能のうち1点以上を新規に有する製品への置き換えのみが補助対象となります。

Q2:公募要領に「本事業は省力化を目的とすることから新規事業は対象とならない」とありますが、新規事業の定義を教えて下さい。
A2:新規事業とは、新規創業や既存事業の新事業展開などを指します。

これらの事業は比較可能な対象が存在せず、省力化商品を投資で導入することで省力化に資するか確認が困難なため本制度の補助対象外となります。

既存事業と異なる新市場・高付加価値事業への進出に係る設備投資等を支援する補助金としては中小企業新事業進出補助金がありますのでご検討下さい。

参照先:よくあるご質問(カタログ注文型)| 中小企業省力化投資補助金事務局

一般型に係る疑問点

Q1:オーダーメイド整備とはどのようなものをいいますか?
A1:一般型におけるオーダーメイド設備とは、ICTやIoT、AI、ロボット、センサー等を活用し、単一もしくは複数の生産工程を自動化するために、外部のシステムインテグレータ(SIer)との連携などを通じて、事業者の個々の業務に応じて専用で設計された機械装置やシステム(ロボットシステム等)のことを指します。

なお汎用設備であっても、事業者の導入環境に応じて周辺機器や構成する機器の数、搭載する機能等が変わる場合や、汎用設備を組み合わせて導入することでより高い省力化効果や付加価値を生み出すことが可能である場合は、「オーダーメイド設備」であるとみなし本補助金の対象となります。

Q2:1人当たり給与支給総額または給与支給総額の目標を達成できなかった場合の補助金の取扱いについて
A2:達成率に応じた補助金の返還を求められます。

具体的には、達成率の高い目標値の未達成率を乗じた額の返還が必要です。ただし、付加価値額が増加しておらず、かつ企業全体として事業計画期間の過半数が営業利益赤字の場合や、天災など事業者の責めに負わない理由がある場合、上記の補助金返還は求められません。

参照先:よくあるご質問(一般型)| 中小企業省力化投資補助金事務局

まとめ

中小企業省力化投資補助金2025は、中小企業等の省力化投資を促進し、補助事業者の付加価値額や生産性向上を図る目的で作られた支援制度です。

積極的な活用により、生産性向上だけでなく、省力化や付加価値額の増加を通じて、従業員の労働時間の短縮や賃上げも実現できます。

人材確保や低い生産性に悩んでいる事業者の方々は、新たに制度拡充が図られた中小企業省力化投資補助金2025にも目を向けられ、本補助金の活用をぜひご検討下さい。

税理士.ch 編集部

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