経営がうまくいく姿勢(小宮一慶先生 経営コラムVol.60)
株式会社小宮コンサルタンツ 代表取締役CEO
小宮 一慶 先生
2022/11/25
本コラムでは『小宮一慶の「日経新聞」深読み講座』等の著書を持ち、日経セミナーにも登壇する小宮一慶先生が経営コンサルタントとしての心得やノウハウを惜しみなくお伝えします。
このところ、企業を取り巻く環境は厳しいものがあります。インフレが進み、また、ウクライナ情勢も重なり資源高も続いています。
今回は、経営が成功するための経営者が持つべき考え方や姿勢についてお話したいと思います。
まず、素直です。松下幸之助さんは「素直」ということをとても大切にされました。「人が成功するためにひとつだけ資質が必要だとすると、それは素直さだ」とまでおっしゃっています。そして、その「素直」ということは、「受け入れる」ということと、「前向きに対応する」ことだとも述べておられます。
ありのままに受け入れて、それに対して前向きな対応をすることです。厳しい時期こそその姿勢が必要です。
素直で謙虚でないと、人の話をきちんと聞くことができないのです。
素直は謙虚さとセットです。謙虚でなければ素直でいられません。
素直になる第一歩は、「自分は素直でない」と思うことです。そしてそれを反省して自分を高める努力をすることです。自分が素直と思っていると、自分の素直さが伸びません。自分が賢いと思っていると勉強しなくなるのと同じです。
素直で謙虚であるかを常に反省することが大切です。
次は反省です。「うまくいったときには窓の外を見て、失敗したときには鏡を見る」という言葉は、業績を飛躍的に向上させた会社やその経営者を分析した『ビジョナリーカンパニー2 飛躍の法則』(J.C.コリンズ著、日経BP社)に出てくる言葉ですが、うまくいったときには窓の外を見て自分以外に成功要因を求める、逆に失敗したときには鏡を見て自分のどこが足りないかを反省できる人が、経営を成功させた経営者の特色として挙げられています。
経営コンサルタントの大先輩の一倉定先生は、経営者の心構えとして「電信柱が高いのも、郵便ポストが赤いのも全部自分のせいだと思え」とまでおっしゃっています。与えられた環境に対して、経営者は自己の責任として、素直に前向きに対応することが必要です。
「できることはすべてやれ、やるなら最善を尽くせ」この言葉は、ケンタッキーフライドチキンの創業者、カーネル・サンダースの言葉です。彼は、65歳からフライドチキンのレシピをフランチャイズするビジネスを始めましたが、最初は1,000軒ほど断られたそうです。しかし、今や世界中にフランチャイズがあるほどに成功しました。その彼のモットーが、ここに掲げた言葉です。
どんな時にでも精一杯の努力をすることが大切です。とくに環境の厳しい時期には大切なことです。常に「一歩踏み込む」を念頭に置き、できることはすべて全力で立ち向かい気構えが大切です。