2024年スタートと素直、謙虚、(小宮一慶先生 経営コラムVol.74)
株式会社小宮コンサルタンツ 代表取締役CEO
小宮 一慶 先生
2024/1/26
本コラムでは『小宮一慶の「日経新聞」深読み講座』等の著書を持ち、日経セミナーにも登壇する小宮一慶先生が経営コンサルタントとしての心得やノウハウを惜しみなくお伝えします。
2024年は、年初から能登半島の大地震、日航機と海保機の接触炎上事故など、心が痛む大災害や事故からスタートしました。災害や事故で亡くなられた方や関係者に心よりお悔やみを申し上げるとともに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
今年もこの先、多くのことがあると思います。世界レベルでの政治的には、ウクライナやガザ地区での戦争、米大統領選挙、1月早々には台湾の総統選挙もありました。ロシアや中国といった強権国家の動きにも注意が必要です。北朝鮮もミサイル発射などで挑発を続けるでしょう。極東アジアも不安定さを増しています。
経済的には、米国金利の下落と日本金利の上昇、中国の不動産バブル崩壊懸念と成長鈍化などが日本経済にも大きな影響を与えるでしょう。植田日銀総裁の真価が問われる年でもあります。一方、コロナからの完全復活をとげる日本企業も増加するという明るい面もあります。
さて、不幸なスタートをした今年ですが、こういう時こそ、素直で謙虚、そして前向きでいることが大切だと思います。
私は、相変わらず松下幸之助さんの『道をひらく』を東京にいる時は毎夜読んでいますが、その中に次のような文章があります。
「逆境は尊い。しかしまた順境も尊い。要は逆境であれ、順境であれ、その与えられた境涯に素直に生きることである。謙虚の心を忘れぬことである。
素直さを失ったとき、逆境は卑屈を生み、順境は自惚(うぬぼれ)を生む。逆境、順境そのいずれをも問わぬ。それはそのときのその人に与えられた一つの運命である。ただ、その境涯に素直に生きるがよい。
素直さは人を強く正しく聡明にする。逆境に素直に生き抜いてきた人、順境に素直に伸びてきた人、その道程は異なっても、同じ強さと正しさと聡明さを持つ。」(『道をひらく』の「素直に生きる」より抜粋)
私たちは、素直で謙虚、前向きの姿勢が必要です。素直や謙虚であれば、松下幸之助さんの言葉ではありませんが、強く、正しく、聡明に生きることができます。そして、前向きであれば、どんな状況でも道は必ずひらけます。逆に、ひねくれて、傲慢で、後ろ向きでは、どんなこともうまくいかないことは明らかです。
今年も、良いこと、悪いこと、楽しいこと、つらいことがたくさんあると思いますが、できる限り、素直で謙虚、前向きを心掛けたいものです。そして、私たちで少しでも世の中を良くしていきたいものです。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。