リスキリングについて<President’s Report vol.2>

株式会社ビズアップ総研 代表取締役
吉岡 高広

(2024/1/4)
明けましておめでとうございます。
株式会社ビズアップ総研の代表取締役 吉岡高広です。

本年も社員一同、皆様にご満足頂けるサービスを心がけ、一層精進して参る所存です。

新年を迎え、新しい学びを身につけたいとお考えになる方も多い時期ですが、今回は、企業がDX時代の人材戦略を進めるうえで不可欠になりつつあるリスキリングについて、お話したいと思います。

リスキリングとは、新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に対応するために、ITやデータ分析といったスキルを獲得する取り組みです。

生涯学習を目的とした個人のリカレント教育とは異なり、企業が主導するのが特徴で、業務効率化の推進や人手不足の解消といったメリットがあります。米国の通信大手AT&Tが2013年頃から先駆的に取り組み始め、現在は先進国の企業に広がっています。

世界規模でリスキリングを推し進める動きが加速する中、日本政府の岸田文雄首相が2022年10月の所信表明演説で、個人のリスキリング支援として、人への投資に5年間で1兆円を投じると表明し、総合経済政策にリスキリング支援が盛り込まれることになりました。

こうした政府の方針のもと、経済産業省の「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」をはじめ、リスキリング推進を目的とした政策立案が相次いでいます。最近も、厚生労働省が、一定程度の学び直し(リスキリング)をしなければ、助成率を引き下げる雇用調整助成金の見直し案を示したことが話題になりました。企業側でも、政府方針に呼応するかのように、社員向けに学習体験プラットフォームを導入した日立製作所をはじめ、大企業がリスキリングに取り組み始めています。

このように、リスキリングに取り組む企業が増えているものの、日本でのリスキリングの実施状況は局所的と言わざるを得ません。大手会計事務所のPwCが実施した「デジタル環境変化に関する意識調査2021年版」によれば、世界全体で74%の回答者が「絶えず新しいスキルを学んでいる」と回答したのに対し、日本の回答者で肯定的な回答をした割合は40%に過ぎませんでした。

課題は労働者側だけではありません。厚生労働省の労働経済白書 平成30年版によれば、日本における能力開発費が実質GDPに占める割合の5年平均は、2010年〜14年でみてわずか0.10%にとどまります。これは、米国(2.08%)やフランス(1.78%)などと比べて極めて低い水準です。

企業、労働者の双方でリスキリングが進まない背景には、低い雇用の流動性や、年功序列的な職能給など、さまざまな要因があります。しかし、こうしたマクロの要因に対抗するのは、容易ではありません。それでも、個別の企業が、リスキリングを進めるためにはどうすれば良いのでしょうか。

具体策には、「日本リスキリングコンソーシアム」など、外部のコンテンツを活用した学習プログラムの整備が挙げられます。ただ、リスキリングは企業が学習プログラムを提供するだけでは進みません。新しく必要なスキルと、従業員が現在持っているスキルの間のギャップの可視化や、学習の継続を促す学習管理システムの導入といった取り組みも重要です。

経営資源に乏しい中小企業では、こうしたリスキリング推進策をすぐに導入するのは難しいかもしれません。それでも、補助金を活用した外部研修の開講をはじめ、必ず自社に合った施策はありますので、経営者や管理職の皆さまは諦めずに情報収集に努めるとよいでしょう。

当社は、効率的にリスキリングプログラムを学べる「リスキリングBiz」というサービスを開発・提供しておりますし、日本リスキリングコンソーシアムにリスキリングパートナーとして参画しております。

今後も、DX時代に対応できるリスキリングのコンテンツや最新情報を提供して参りますので、是非、ご活用いただければと思います。

今後も変わらぬご愛顧を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

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