急成長の要因は学生アルバイト活用にあり!
時代と逆行する年間361日営業で成功を遂げた“税理士法人ともに”の躍進劇!Vol.2

急成長の要因は学生アルバイト活用にあり! 時代と逆行する年間361日営業で成功を遂げた“税理士法人ともに”の躍進劇!

税理士法人ともに 代表社員税理士 入江 康二

2018年の設立から6年半で売上4億円、スタッフ70名達成という急成長を遂げた「税理士法人ともに」。相続業務における顧客ニーズに応えることで満足度を向上させ、業績を拡大するとともに、会計業務にも力を入れはじめている。その裏には、学生アルバイトの活用による年間361日営業の実現があった。独自のビジネスモデルで成長を続ける同社の戦略や哲学を、代表・入江康二先生に伺った。

学生アルバイトの強みは「ゴール設定のしやすさ」
短い勤務時間でも業務が進む理由

361日営業の鍵となった学生アルバイトですが、そもそも貴所が学生採用を強化したきっかけは何ですか?

きっかけは、1期生としてアルバイト採用したある学生の優秀さでした。弊所初の大学生アルバイトで、ホームページにもインタビューを掲載しています。彼の活躍を見て、学生アルバイトの可能性に気づきました。
また、飲食店での店長経験のある妻から「店長には、学生アルバイトが合うタイプと主婦パートが合うタイプがいる」という話を聞いていて、なんとなく私は学生タイプではないかと思っていたのです。実際に彼と働いてみて、それが確信に変わりました。当初は教育しても2年で辞めてしまうことがもったいなく思えましたが、逆に2年間でしっかりと成長させ、戦力にする仕組みを作ればいいと気づいたのです。

雇用する側から見て、学生アルバイトと主婦パートの大きな違いは何でしょうか?

ゴール設定のしやすさです。主婦パートはいつまで続くかわからないため目標設定がしにくいですが、学生は卒業という明確なゴールがある。例えば、大学3年生の9月に入所したら卒業まで1年半あるので、半年後にここまで、1年後にここまで、卒業までにこれを達成しよう、というような形で目標設定ができるのです。
また、引継ぎが重なるごとに、業務の質が向上することも挙げられます。同じ人が同じ業務を続けるのとは違い、学生は次々とバトンを渡すので、そのたびに改善が進む。今となっては、このスタイル以外での運営は考えられません。

学生アルバイトを活用するための極意を教えてください。

学生アルバイトは勤務時間が短いため、円滑に活用するには土壌の整備が欠かせません。
まず、業務の属人化を防ぐため、全ての案件に対して誰でも対応できる仕組みを整える必要があります。例えば弊所では、案件をデータベースで一元管理し、スタッフ全員がアクセスできるようにしています。これにより、担当者の不在や急な休みでもお客様を待たせることがなくなり、勤務時間の短いスタッフでも案件を進めることが可能になります。
相続部門ではすでにこの仕組みを導入済みですが、会計部門ではまだ始めたばかりです。これが定着すれば、スタッフの8割が学生アルバイトでも問題なく運営できるようになるでしょう。


学生アルバイト同士の評価で昇給へ
実力主義で退職金100万円も

学生アルバイトの研修や教育について教えてください。

採用後はまずマニュアルを読んで業務内容を理解し、続いて先輩スタッフのアシスタントに就くことから実務を学んでいきます。最終的には申告書の下書きまでできるように、学生が学生を育てる仕組みを作っています。
なお、仕事についていけず、マニュアル通りの業務がこなせない人は、自然と辞めていきます。弊所の実力主義的な評価制度とも相性が合わないためです。
例えば、能力のある学生は、入所から1か月もしないうちに重要な仕事を任され、時給も一気に400円ほど上がることがあります。一方で、能力がなければ昇給はなく、任されるのは単純作業のみ。そのような環境に不満を感じ、退職する人も少なくありません。

実力次第で明暗がはっきり分かれますね。
具体的な評価システムはどうなっているのでしょうか?

昇給には明確な基準はなく、メンバーからの評価によって決定しています。またアルバイトの階級にはアシスタント、シニアアシスタント、アシスタントマネージャー、アシスタントディレクターの4段階があり、例えばアシスタントがシニアアシスタントになるためには、一階級上のシニアアシスタントによる推薦が必要です。学生が学生に教えるのと同様、正社員に限らず学生も学生を評価することができる仕組みとなっています。
最上級のアシスタントディレクターまで昇進した学生はまだいませんが、アシスタントマネージャーには退職金として100万円近く出したことがあります。


学生アルバイトに退職金100万円とは驚愕です。

これを前面に出すとお金目当ての人が増えてしまうため、求人ではあえてアピールしていません。あくまで、本当に貢献してくれた人への感謝なのです。ちなみに、希望する学生には正社員登用の道も用意しており、実際にアルバイトから正社員になったケースもあります。


業務フローと担当体制
相続顧客の依頼や紹介で会計へと事業拡大

業務フローについてお聞きします。顧客が相談に来てからの流れはどうなっていますか?

弊所では製販分離を採用しており、契約までは「面談担当」が対応し、契約後は主に顧客対応をする「主担当」と書類作成等を行う「事務担当」が2名体制で対応します。
基本的に主担当は税理士職員、事務担当は正職員や学生が担っています。ただし、先ほど申し上げたように、案件をデータベースで管理しているため、必ずしも担当者でなくとも対応はできるようにしてあります。
書類作成は例えば相続における財産評価なら、まずはマニュアルに従ってデータを入力し、税理士職員がチェックして仕上げます。これにより、作業の属人化を防ぎつつ、スピードと正確性を両立させています。

相続部門について、年間の対応件数や顧客の資産層はどれほどでしょうか。

対応件数は年間200~300件程度です。
顧客の資産は4,000万円くらいからで様々です。報酬相場は一般的な水準である0.5%から1%の範囲で請け負っています。

会計部門について、新規顧客はどのように獲得しているのでしょうか?

相続部門のお客様からの依頼や紹介です。実は相続専門の頃から、会計も依頼したいという声はありました。毎回断っていましたが、それでも年々増えていったのです。私としてもお客様のニーズに応えたい思いはあり、学生アルバイトの3期生が育ってきたタイミングで、会計にも力を入れていくことを決めました。現在は確定申告や準確定申告、会社の顧問などの対応をしています。

売上や規模拡大よりも品質を重視
お客様に誠実であり続ける経営方針

今後について、売上や職員数など具体的な目標はありますか?

特に数字の目標はなく、サービスの品質を高めることに注力しています。サービス業として、お客様に喜んでもらうことを最優先に考えてきましたし、今後も変わることはありません。その結果として良い方向に進んでいくと信じています。

利益を追求しつつも、お客様満足を第一に考える姿勢が印象的です。

その二つは決して相反しません。サービスの品質を保つために必要なコストがあるため、私はお客様に「ある程度の利益はいただきます」とはっきり伝えています。
例えば、システムにはかなり投資しています。そのおかげで、これまで問題を起こしたことはありません。また、優秀な職員には適切な報酬を支払っています。これらが最終的に良いサービスにつながるのです。
実際、お客様から「料金が少し高い」という声はあります。それでも信じて契約してくれたのだから、品質で答えたいのです。それ以外のこと、例えば売上だったり職員数だったりを追い求めることは、お客様に嘘をつくようなものだと思っています。このような姿勢でいることが、お客様からの評価が高まり、紹介につながっていくと考えます。これからも、「お客様にとって本当に必要な税理士事務所とは何か?」を考えながら、より良いサービスを提供していきたいですね。

貴重なお話、ありがとうございました。

プロフィール
税理士法人ともに 代表社員税理士 入江 康二

1978年大阪市生まれ。2003年税理士登録後、国内最大手の医療系会計事務所にて、医師や資産家に対する税務コンサルティング業務に充事する。2006年には外資系税理士法人にて、上場企業の税務申告、コンサルティング業務を、 2010年には相続専門大手税理士法人にて、200件以上の相続税申告業務の担当や大地主やオーナー企業に対し、事業承継対策やMBOを実行する。2018年に独立、「税理士法人ともに」開業。

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