健康診断を受けよう(小宮一慶先生 経営コラム Vol.33)
株式会社小宮コンサルタンツ 代表取締役CEO
小宮 一慶
2022/9/19
本コラムでは、『小宮一慶の「日経新聞」深読み講座』等の著書を持ち、日経セミナーにも登壇する小宮一慶先生が、経営コンサルタントとしての心得やノウハウを惜しみなくお伝えします。
※本記事は、会報誌『BIZUP Accounting Office Management Report』vol.107(2022.9)に掲載されたものです。
健康診断を受けよう
経営コンサルタントとして独立してもう27年目になります。私も今年で高齢者の仲間入りですが、16年前の48歳の時に肺がんが見つかりました。幸い初期で見つかったので、右肺の4分の1ほどを切除しただけで、その後は何ともありません。初期で見つかったのは、顧問先さまの病院で、毎年、人間ドックを受けていたからです。CTの画像を見て、検診の先生が気づいてくれたのです。そうでなかったら、肺がんは致死率の高い病気なので、今、私がこうしてこの原稿を書いていたかは不明です。
それ以来、人間ドックを受けて、大きな病気がないことが確認されると、「今年一年、生きるパスポートをもらった」と思うようになりました。生きていることがあたりまえでないと思えるようになると、生き方も以前より丁寧に、一歩踏み込めるようになったような気がします。不思議なことに、肺がんの手術以降は、本も売れるようになりました。本人としては、文章の内容などは変わったとは思っていないのですが、自分の分からないところで何かが変わったのかもしれません。
ところで、年齢のこともあるのでしょうが、このところ、親しいお客さまが亡くなったり、大きな病気になられるということが数件続きました。ご本人やご家族もとてもつらいと思いますが、私や仲間もとてもつらい思いをしています。
がんは、今では二人にひとりが一生のうちにはかかる病気だと言われています。そして、以前とは違い、不治の病ではなくなりました。しかし、だからと言って放置しておくと死に至る可能性の高い病気でもあります。がんを経験したものとしては、とにかく、「早期発見、早期治療」をお薦めしています。
最近、ふと「武士道とは死ぬことと見つけたり」という言葉を深く考えることがありました。私は、人はいつかどこかの時点で必ず死ぬことを覚悟しなければならない。だからこそ、それまで懸命に生きなくてはいけないということではないかと、この言葉の意味を考えました。
死ぬということは生きるということなのです。松下幸之助さんも、「死の準備をする」ということはそれまで懸命に生きようとすることだとおっしゃっています。
そして、懸命に生きるということは、できる限り生を全うするということで、そのためにも、自分の身体を大切にすることが大前提です。
避けられない場合もあるかもしれませんが、健康診断さえきちんと受けていれば、と悔やむこともあります。皆さんもぜひ定期的に健康診断を受けられることをお薦めします。