教育と少子化について<President’s Report vol.30>

株式会社ビズアップ総研 代表取締役
吉岡 高広

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今回は、大学受験シーズンのこの時期に、教育と少子化のことについて考えてみました。

先月、大学入学共通テストが行われ、いよいよ本格的な受験シーズンが始まりました。
私も20年以上前、受験勉強に励みました。寒風吹きすさぶ中で会場に向かい、試験問題と格闘したあの頃が思い出されます。もっとも、私が受験生だった時は「共通テスト」ではなく、「センター試験」と呼ばれていましたが…。時の流れは早いものです。受験生の皆さんが実力を出し切れるよう祈っています。

ただ、「懐かしいな」などと、思い出話に浸ってばかりもいられません。
少子化の影響は、大学入試の受験者数にも如実に表れています。報道によると、今年の共通テストの志願者数は49万5000人余りで、前回と比べ0.7%増加したそうです。
しかしその前回と言うのが、32年ぶりに志願者数50万人を割った年でした 。少なくとも、少子化に歯止めがかかっていないのは間違いないでしょう。

私は、1980年に生まれました。この年、私を含めて約157万7000人がこの世に生を受けたそうです。調べてみて驚いたのですが、実はこの時でさえ、出生数が減少していると騒がれていたようなのです。それが、最新の2023年の統計では、一年間で生まれた子どもの数が72万7000人ほどにまで少なくなっています 。

少子化を改善する方策はあるのでしょうか。大学受験の話題に絡めて考えてみると、国の教育費がカギになるかもしれません。日本は、教育にかける予算が少ないとしばしば指摘されます。それは、国際的なデータからも読み取れます。

加盟国のうち36か国を対象にしたOECD(経済協力開発機構)の最新の調査では、社会保障費などを含む公的な支出の中に占める教育費の割合が、日本は8%で、ギリシャ・イタリアに次いで3番目に低い水準だったそうです。その一方で、大学や専門学校などの高等教育にかかる費用のうち、家計で負担しなければならない割合は51%と、チリとイギリスに次いで3番目に高くなっています 。

こうしたデータを見ていると、日本では教育費の負担が家庭に重くのしかかっていることがよく分かります。大学進学を考える家庭にとって、学費や生活費の負担はやはり大きなもの。経済的な理由で進学をあきらめたり、卒業後も重い奨学金返済に苦労したりせざるを得ない若者がいる現状を考えると、教育に対する公的支援の拡充が、将来的な少子化対策の一環としても重要なのではないでしょうか。国として、教育の機会をより多くの人に開かれたものにするための政策を打ち出すことが求められていると感じます。

子どもの数が減ったから予算が増えないのか、予算が増えないから子どもを産み育てやすい環境を作れないのか。コロンブスのたまごのような話で私には実際どちらが正しいのかは分かりません。しかし、子育て世代をサポートするような仕組みをもっと拡充してほしいというのは、子育て世代に共通する気持ちでしょう。

私たちや、私たちの子ども・生まれてくる孫たちが希望を持てる社会をどう作っていくべきか。これからも、考え続けていきたいと思います。

今後も変わらぬご愛顧を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

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